コスメの世界でも「発酵」を目にすることが多くなっていませんか。この発酵コスメとは米や大豆などさまざまな植物を微生物の働きによって発酵させた時につくられる成分などを用いた化粧品のこと。微生物のナチュラルな力を生かした発酵コスメの魅力を紹介しましょう。
微生物の力で美肌効果や抗酸化作用が期待できる
発酵にかかわる日本古来の要素に麹(こうじ)があります。お味噌や醤油の豊かな風味も、日本酒の芳醇な味わいも、この麹を通して生み出されています。
このように麹菌は、私たち日本人の食生活に深くかかわるとともに、古くから「健康によい」「美容によい」といわれてきました。最近では研究によってその効果も証明されています。日本酒づくりなどで培った伝統的な技術を生かしたものから、最新サイエンスを駆使したものまで、数多くの化粧品がラインアップしています。
この麹菌の発酵過程でつくられるコウジ酸には、シミの原因になるメラニンをつくる酵素の働きを抑えるという美白効果があります。さらには黄ぐすみを抑えて透明感のある肌にも。抗酸化作用もあるといわれています。
また、コウジ酸ばかりでなく、アミノ酸やビタミン、保湿成分セラミドなどの美肌成分がつくられることがわかっています。このように麹菌は、ひとつで複数の発酵作用をもたらす万能菌なのです。
内側から整える、“食べる”美容のすすめ
発酵美容のすばらしいところは、外からだけでなく内からも肌を整えてくれることにあります。化粧品として気になる肌の部分に浸透させるばかりでなく、食品や飲料として体全体に吸収されるようにバランスよくとることでも、肌を美しく保てるのです。
たとえば、麹つながりで紹介するならば、米麹を使ってつくる甘酒。
この甘酒は、ビタミンやアミノ酸を豊富に含むことから、「飲む点滴」や「飲む美容液」ともいわれています。
米麹が発酵過程でつくりだすビタミンB群は代謝に働く作用があり、肌のターンオーバーを促進する効果が期待されます。ある実験によると、米麹甘酒を1か月ほど継続して飲み続けた結果、首や腕のキメが整ったそうです。
ぬか漬けで美肌づくりも!?
さらに甘酒には、私たちの腸内にすむ乳酸菌やビフィズス菌など、いわゆる「善玉菌」のエサになるオリゴ糖や食物繊維もたくさん。ということは、腸内環境を整えることを通じて、美肌づくりにひと肌脱ぐという効果も期待できるわけです。
これらオリゴ糖や食物繊維は、味噌や醤油、納豆、ぬか漬けなど、日本に古くからある発酵食品にも豊富に含まれています。つまり、伝統的な食品を取り入れることは、日本人らしい美や健康につながるともいえるでしょう。
身近な微生物の力に注目して、外から、内から。これが頑張らずに続けられる美肌づくりのポイントかもしれませんね。