からだのこと
2021.10.06

自転車競技世界女王・梶原悠未 トップアスリートのライフスタイル(2)

アスリート・自転車競技世界女王
(読了時間 : 8分)

自転車競技の世界女王であり、この夏の五輪でも大活躍した梶原悠未さん。そして、マネージャーとして母として、二人三脚で歩む梶原有里さん。お二人のインタビューの2回目は、日々の生活の話題が中心。朝の寝起きの様子から、夜に取り組む勉強の内容まで、世界トップアスリートの横顔が垣間見られる興味しんしんの話が盛りだくさんです。

 

海外遠征でも、エネルギーの源は手作りの日本食

KOSMOST(以下、K):海外遠征などでの食事はどうされているのですか?

梶原悠未(以下、悠未):海外では母が同行しないことが多いので、食事も自分で管理しています。

K:この5月には、久しぶりの国際大会で中国・香港に遠征したそうですね。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、たいへんだったのではないですか。

悠未:そうですね。香港には10日間滞在していました。その間、レースや練習以外はホテルの部屋に籠もりっきり。食事も3食、ホテルが用意してくれたお弁当です。脂っこくて味も口にあわなく、3日目には口内炎ができてしまいました。結局、ほとんど日本から持っていったものだけを食べていました。

アスリート・海外遠征・日本食

 

梶原有里(以下、有里):海外遠征ではいつもそうですが、あらかじめ日本で食材を準備して持っていかせるようにしているのです。無添加や油分が少ないものなど、なるべく悠未が日頃食べ慣れている食事になるように工夫しています。

今回は10日間でしたので30食分。大きなスーツケース半分くらいの量です。

アスリート・海外遠征・日本食

 

K:すごい量ですね。どんな食材が多いのですか?

有里:うどんやお餅といった炭水化物、タンパク質がとれるように味つけしてパックした魚、甘味がほしいときためのほしいもや甘栗……。今回の香港では、ホテルの部屋ではお湯を沸かすくらいしかできないことを事前に調べていたので、湯せんして食べられるように工夫しました。

悠未:味つけはやはり和食がからだに馴染みますね。母が用意してくれる食材は、海外のレースでも大事な心の支えになっています。

K:なるほど。ところで、こもりっきりのホテルではどのように過ごしていたのですか?

悠未:母とテレビ電話で話したり(笑)、日本のドラマを観たり、YouTubeを見たりしながら体幹トレーニングなどもしていました。

 

コンディションを知るために、目覚めの様子を毎朝観察

K:悠未さんのふだんの生活サイクルは、どんな感じなのでしょうか。とても気になります。

悠未:朝起きるのは7時半くらいです。食事をすませて、8時半くらいから午前中のトレーニング。それから昼食をとって30分ほどお昼寝。また2時くらいから午後のトレーニングです。夕方、家に帰ってきて、食事をしたりお風呂に入ったりして、夜は2時間ほど大学院の勉強をしています。布団に入るのは10時くらい。だいたい11時には寝ていますね。

 

アスリート・海外遠征・日本食

 

K:朝はすっきり目覚めるタイプなのですか?

悠未:その日の体調によりますね。疲労がとれているオフ明けの朝などは目覚めもいいです。

有里:目覚めの様子は、私もいつも観察するようにしています。起き上がる瞬間のからだの動きや歩く様子などから、悠未のその日のコンディションをつかむように目配りしています。その様子から、その日どのように言葉をかけるかを判断します。

K:毎朝欠かさずですか?

有里:ええ。いまは練習やレースの関係で伊豆に小さな家を借りていて、一緒の部屋で寝起きしていますので、悠未が起きる様子をいつも隣で見ています。

K:その観察力や気遣いがすばらしいですね。ところで、悠未さん、睡眠について意識していることなどありますか?

悠未:朝起きてからずっと自転車競技のことで頭がいっぱいなので、眠るときくらいは意識から追い出すようにしています。それでも布団に入ると、また練習のことを考えたりして……。そんなときは「あっ、ダメダメ!」と好きなドラマのことを考えたり、頭を切り替えるようにしています(笑)。

 

大好きなバスタイムで考えていることとは?

K:大学院の話が出ましたが、どのような勉強をしているのですか?

悠未:筑波大学の大学院で学んでいて、いま、修士論文を書くための研究をしています。論文のテーマは、自転車競技のある種目に関する「戦術技能の達成度評価基準」です。

K:自転車競技を科学的に分析していると、練習やレースにフィードバックできることも多いのではないでしょうか。

 

アスリート・海外遠征・日本食

 

悠未:そのとおりです。データを収集するために、自分のレースの映像を1000回以上見ています。すると、レースの戦術や技術が自然と頭の中に刷り込まれてくるのですね。また、分析したり文章を書くことで客観的に考える習慣をつけることができます。

その成果だと思うのですが、最近のレースでは、走る自分の姿を、映像のように遠くから見ているもうひとりの自分がいるような感覚があるのです。レース後も、第三者の視点でレース結果を分析できるようになりましたね。

K:すごいですね。世界トップアスリートの秘訣を垣間見たような気がします。

悠未:私はお風呂が大好きなのですが、バスタイムでも練習の組み立てや改善点などを考えています。それが自分にとっての息抜きというかリラックスタイムでもあるのです(笑)。

将来は、自分自身をコーチできるような自律できるアスリートをめざしています。それが筑波大学で学んでいる目的でもあるのです。

K:それもすばらしい。ところで、お風呂にはどれくらい入っているのですか?

悠未:長いときは2時間くらいです(笑)。

 

遠征前の「前祝い」がリラックス・タイム

K:日々のくらしの中でほかにリラックスできるのはどんなときですか?

悠未:やはり母がつくるお料理を食べているときはくつろぎますね。好きなドラマを観ながらゆっくりおいしいものを食べて息抜きしています。

K:有里さんがつくるお料理で最近のお気に入りは?

悠未:オムライスでしょうか。ふわとろのオムライスが出てくるとテンションがあがりますね(笑)。

アスリート・海外遠征・日本食

有里:悠未の様子を見て、ときどきお昼などにつくります。1日にとる卵の数は決めているので、そんな日は朝の卵料理を減らしたりしています。

K:有里さんに前回インタビューしたときに、ときどきお二人で食事に行く話をお聞きしました。

有里:「前祝い」と呼んで、遠征前などに一緒にごちそうを食べに行ったりしていますね。

悠未:レースで優勝するための前祝いです。有言実行のためのルーティンでもあるのですね。

有里:遠征直前のタイミングでテンションを高めて、気持ちよく遠征に出発できるようにしています。

悠未:伊豆にはおいしいお店がたくさんあって、最近は焼鳥屋さんなどに行っています。

それから最近、二人でネイルサロンに行きました。ふだんは自分でしているのですが、初めてジェルネイルをして楽しかったですね(笑)。

 

アスリート・海外遠征・日本食

 

(次回に続く)

※このインタビューは2021年6月9日に行われたものです。当時のお話をそのまま掲載しています。

 

インタビュー連載

自転車競技世界女王・梶原悠未 トップアスリートのライフスタイル(1)

自転車競技世界女王・梶原悠未 トップアスリートのライフスタイル(2)

自転車競技世界女王・梶原悠未 トップアスリートのライフスタイル(3)

自転車競技世界女王・梶原悠未 トップアスリートの食卓(1) 

自転車競技世界女王・梶原悠未 トップアスリートの食卓(2)

自転車競技世界女王・梶原悠未 トップアスリートの食卓(3)

 

 

 


KOSMOST 編集部(運営:光英科学研究所)は、自転車競技世界女王 梶原悠未さんを応援しています!

 

梶原 悠未(かじはら ゆうみ) Yumi Kajihara

1997年4月10日生まれ笑顔がステキな梶原悠未さん
埼玉県和光市出身
身長155㎝
筑波大学大学院 在籍

[プロフィール]

高校進学と同時に競泳から自転車競技に転向。以来、天性の才能を発揮する。筑波大学へ進学後はエリートカテゴリーに上がり、全日本選手権5連覇、3種目の日本新記録保持、アジア選手権大会4連覇、ワールドカップ日本人史上初の4大会優勝。2020年世界選手権大会では日本人史上初の金メダルを獲得し、世界女王に輝く。

 

梶原 有里(かじはらゆり) Yuri Kajihara

2児の母として子育てに取り組むとともに、長女、悠未さんのサポートを通じてスポーツ・マネジメントを学ぶ。独学でスポーツフードアドバイザーの資格を取得。現在は、悠未さんのマネージャーとして、練習のサポート、取材の対応、そして毎日の食事の管理に携わる。

梶原悠未さん、梶原有里さん


 

 

 

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KOSMOST 編集部

KOSMOST 編集部

KOSMOST編集部。2020年10月22日に創刊。おいしいこと、からだのこと、うつくしきこと、微生物のこと、おなかのこと、せかいのことをめぐる情報をつうじて、みなさまがウェルネス豊かなライフスタイルをおくれますように! -------- Q. ウェルネスのために心がけていることは? → A.いろいろな方々との対話から、新しいアイディアをうみだすこと!

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