微生物のこと
2021.02.17

食べて、育てる。腸内細菌との上手な付き合い方 〜 “新”乳酸菌生活のススメ⑤

家庭菜園・育てる
(読了時間 : 4分)

からだのことで最近気になるキーワードといえば「腸活」ですよね。私たちの腸の中にはたくさんの細菌がすんでいて、その存在はからだばかりか、心のバランスなどにも影響を及ぼしている可能性があるといわれています。そんな腸内細菌たちとの上手な付き合い方とは?家庭菜園ならぬ「腸内菜園」ともいえる、腸内環境を整えて育てるためのヒントを紹介しましょう。

乳酸菌やビフィズス菌をそのまま腸に届ける

私たちの腸の中にすんでいるたくさんの腸内細菌たちを元気にして腸内環境を整えるためには、どのような工夫が必要なのでしょうか? 大きく3つのアプローチがあるようです。

1つめは「プロバイオティクス」。最近、スーパーマーケットの売場やインターネットのショップなどでもこの言葉をよく見かけますから、ご存じの方も多いと思います。

このプロバイオティクスとは、からだによい影響を与える微生物(細菌)や、それを含む食品・製品のこと。つまり、腸内環境によいといわれる細菌を直接取り込もうという発想です。

善玉菌といわれる乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルトなどが代表的なもの。サプリメントも数多く販売されています。キムチや納豆、味噌などの発酵食品も身近なプロバイオティクスですね。

とても手軽にできる方法なのですが、プロバイオティクスには考慮しなければならないことがあります。体外から取り込んだ細菌は、腸の中に定着させることがむずかしいのです。

したがってプロバイオティクスは、習慣としてつづけることが大切というわけなのですね。

納豆・味噌汁・発酵食品

食物繊維をたくさんとって腸内細菌を育てよう

それならば、私たちの腸にもともといる善玉菌を増やす工夫をしよう。このような発想から生まれた2つめの方法が「プレバイオティクス」です。

わかりやすくいうなら、たっぷり餌をあげて腸内細菌たちを育てようというアプローチ。家庭菜園ならぬ、「腸内菜園」といった感じですね。

腸内細菌の餌となる成分としては、食物繊維やオリゴ糖などがあげられます。この食物繊維は、現代の日本人にとって不足しがちな栄養成分。糖尿病など生活習慣病のリスクを抑える働きもあるともいわれているので、ぜひ日頃から意識してとりたい成分です。

おいしい野菜を育てるには手間がかかるように、プレバイオティクスは、じっくり地道な努力が必要です。でも、お腹の中で微生物を育てて、それが巡り巡って健康な生活につながるのですから、とてもナチュラル。自分のからだへの意識も変わってくると思います。

乳酸菌が生み出す成分を直接取り込む方法とは?

そして3つめの方法は「バイオジェニックス」と呼ばれます。これは、日本での腸内細菌研究のパイオニアである、東京大学名誉教授の光岡知足先生によって提唱された考え方です。腸内細菌を介することなく、直接とることによって腸内環境を整えるなど、からだによい影響を及ぼす成分のことをいいます。先に紹介した2つの方法から、さらに一歩踏み込んだアプローチともいえますね。

代表的なものとして、光英科学研究所が開発した「乳酸菌生産物質」を例に紹介しましょう。これは、乳酸菌やビフィズス菌などの腸内細菌が生みだす成分のこと。同研究所では、腸内と同じような環境を人工的につくり、選び抜いた細菌たちから「乳酸菌生産物質」を生産する技術を確立しています。

乳酸菌生産物質」は、サプリなどで手軽にとることができ、腸内の免疫機能の活性化のほか、生活習慣病や老化のリスク低減に有望だという考え方が広まりつつあります。今後研究が進めば、さらにさまざまな働きが解明されるかもしれません。

さて、乳酸菌を切り口に、5回にわたって微生物との関係を紐解いてきました。あらためて感じるのは、小さな小さな微生物たちの、存在感の大きさ。身のまわりに、そして体内にいる微生物たちをいつでも意識することで、暮らしのスタイルも自然に変化してくると思います。

 

<参考にしたWebサイト>

https://koei-science.com/labmetabolites/biogenics/

 


【archives】

“新”乳酸菌生活のススメ① ─知って、食べて、育てる
 誰もが知っている乳酸菌の意外に知られていない素顔とは?

 “新”乳酸菌生活のススメ② ─知って、食べて、育てる
 発酵界のプリンセス!?乳酸菌のおいしい働き

 “新”乳酸菌生活のススメ③ ─知って、食べて、育てる
 腸にも、口の中にも!?私たちのからだと乳酸菌

  “新”乳酸菌生活のススメ④ ─知って、食べて、育てる
 健康も、しあわせも?からだと細菌の驚くべき関係


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片倉 さとし

コピーライターの本業の傍ら、ときどき“いきものライター”として魚をはじめ生物系の記事や書籍を書いています。免疫力を高めると言い訳して、週末はサーファーとして毎週海へ。KOSMOSTにかかわるようになって微生物の本を読みあさり、最近、毎朝スムージーを飲むようになりました。 -------- Q. 「微生物とともに生きるライフスタイル」で大切にしていることは? → A. 酒場で迷ったときは、蒸留酒よりも醸造酒を選ぶこと。 Q. ウェルネスのために心がけていることは? → A. サーフィン。あまり熱心ではないヨガ。

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