微生物のこと
2022.03.23

こんなところにも乳酸菌!⑩ ご当地自慢! ローカル乳酸菌飲料

乳酸菌飲料・地域限定・ローカル

北から南まで、地域限定のローカル乳酸菌飲料

毎月23日は、2(ニュウ)と3(サン)で乳酸菌の日。この記念日にちなんで毎月、乳酸菌にかかわる話題をとりあげています。今回のテーマは、日本国民にとってソウルドリンクともいえる乳酸菌飲料です。

誰もが知っている乳酸菌飲料「ヤクルト」が発売されたのは昭和初期の1935年。じつに90年ちかい歴史があるのですね。それだけ身近な存在だけに、日本には地域限定のローカルな乳酸菌飲料がいろいろあります。北から南まで、ご当地自慢の乳酸菌飲料を調べてみました。

 

乳酸菌飲料・ご当地・ソフトカツゲン・ヨーグルッペ・リープル

ソフトカツゲン(北海道)、ヨーグルッペ(宮崎)、リープル(高知) 左から

 

北海道で飲み継がれる乳酸菌飲料「ソフトカツゲン」

まずは北の酪農王国、北海道から。雪印メグミルクが北海道限定で販売している「ソフトカツゲン」です。同社のホームページを見ると、「1956年から、道産子に飲み継がれているロングセラー」と紹介されています。道民なら誰もが一度は飲んだことがあるのではないでしょうか?

その歴史は思いのほか古く、戦前の1938年、中国に駐屯していた日本陸軍に向けた栄養飲料として開発されたのが始まりといわれます。もともとの商品名は「活素(かつもと)」で、それが「勝源(かつげん)」、さらに「カツゲン」と変わっていきました。1979年に味わいをさっぱりとさせた「ソフトカツゲン」が発売され、現在に至っています。

パッケージには「勝ちに行こうぜ!!」と元気なコピーが入っていますが、定番の「ヤクルト」と飲み比べてみると、味わいはさっぱり爽やか。子どもにも好かれそう。ほのかに酸味が香るマイルドな口当たりです。

 

九州・宮崎の「ヨーグルッペ」は独特のコクと色合い

次は一気に南国へと飛んで、南九州でお馴染みの「ヨーグルッペ」。宮崎県都城市にある南日本酪農協同が販売している乳酸菌飲料です。同社のホームページによると、「子どもも大人も、みんなが飲みやすい乳製品をつくろう」という初代社長の提案のもと研究開発が始まり、1985年に販売がスタートしたそうです。同社にとっても思い入れの深い商品のようですね。

その一度聞いたら忘れられないユニークなネーミングは社内公募で決めたとか。パッケージには、ヨーロッパの風景と少女のイラストが描かれていて、南国・宮崎のイメージとのギャップもあってインパクトは絶大。九州の生乳と乳酸菌をはじめとする3種混合菌でつくられており、独特のコクと褐色の色合いが特徴です。牛乳の風味と爽やかな酸味、やさしい甘味。そのバランスが絶妙で、クセになりそうなおいしさです。

この「ヨーグルッペ」、なぜか遠く離れた北海道でも販売されています。グループ企業である北海道日高乳業が製造・販売するもので、こちらは北海道の生乳を使うなど味わいも少しだけ異なるようです。

 

高知県民に愛され続けるソウルドリンク、「リープル」

同じく南国の四国にも、ご当地自慢の乳酸菌飲料があります。40年以上にわたって高知県民に愛され続けている「リープル」です。製造・販売するのは高知県南国市にあるひまわり乳業。創業100年という高知県を代表する企業です。

さて、その味わいですが、オレンジを基調としたパッケージからも想像できるように、さっぱり爽やか系。すっきりした口当たりで、ほんのり甘酸っぱい風味が広がります。

 

このほか、今回は試飲できませんでしたが、沖縄にも約60年も愛され続ける「森永ヨーゴ」や石垣島限定の「ゲンキクール」など、数種のローカル乳酸菌飲料があるようです。

このように、地元で愛されるローカルな乳酸菌飲料を調べていくと、どれもが長い歴史をもつ商品ばかり。それだけ日本の暮らしに根づいている飲み物なのでしょうね。乳酸菌飲料を飲むと、どこか懐かしさを感じるのは、すでにその味わいが私たちのDNAにすり込まれているから? 今年の旅は、ご当地の乳酸菌飲料を飲んで、旅先で腸活に気を配ってみてはいかがでしょうか。

 

参考文献・サイト

雪印メグミルク
https://www.meg-snow.com/products/detail.php?p=katsugen

南日本酪農協同
https://www.dairy-milk.shop/shopbrand/yoghurppe/

ひまわり乳業
https://www.himawarimilk.co.jp/products/lactic-acid-bacterium/lactic-acid-bacterium04.php

 

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片倉 さとし

片倉 さとし

コピーライターの本業の傍ら、ときどき“いきものライター”として魚をはじめ生物系の記事や書籍を書いています。免疫力を高めると言い訳して、週末はサーファーとして毎週海へ。KOSMOSTにかかわるようになって微生物の本を読みあさり、最近、毎朝スムージーを飲むようになりました。 -------- Q. 「微生物とともに生きるライフスタイル」で大切にしていることは? → A. 酒場で迷ったときは、蒸留酒よりも醸造酒を選ぶこと。 Q. ウェルネスのために心がけていることは? → A. サーフィン。あまり熱心ではないヨガ。 ------- 🦠 片倉さとしの記事一覧

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