からだのこと
2022.08.03

夏の冷え性の原因はこれ? 中医学の「血虚」

中医学・血虚・夏・冷え性

リスティックウェルネスアドバイザー星宏美さんのコラムです。以前に、暑い夏に起こりやすい中医学的な不調として「気虚」(ききょ)のお話がありました。そこで今回は、同じく「血虚」(けつきょ)について話を聞いてみました。この「血虚」も、やはり夏に気を配りたい不調なのだそうです。

 

血が足りなく「血虚」とはどんな症状?

前回、中医学の「気虚」(ききょ)についてお話しました。この気虚とは「気」が足りない状態のことでした 

そこで今回は同じように「血」が足りなくなる「血虚」(けつきょ)についてご紹介したいと思います。 

 

血は私たちの体にとって栄養を巡らせるという重要な役割を担っています。つまり、血が足りない状態とは、体中に栄養が行きわたらない状態ともいえます。そしてこの血虚は、夏によく起こりがちなのです。 

血虚の原因は血が冷えてしまうことといわれています。本来は冬に起こりやすいのですが、夏になると日常的にクーラーを使う最近では、血虚は冬のものだけではなくなりました。クーラーばかりでなく、暑くてついつい冷たいものを食べがちになったり、体を冷やし過ぎてしまったりするのが現代の夏です私の友人に鍼灸師がいますが、夏に来る患者さんは冷えからくる体の不調が多いという話でした。

血虚になると、さらに冷えを感じやすくなり、疲労感が増したり夏バテになったりしてしまいます。

中医学・血虚・冷たい飲み物

 

夏は「心」にかかわる経路の巡りが滞る 

中医学では、血と関係の深い臓器として、心、脾、肝などあげられています。心は、血を送りだす心臓にも関係し、血虚になると負担がかかりやすく、動悸にもつながります。また、中医学では、体に通る気の流れに関わる「経路」という考え方があり、夏は心に関わりのある経路の巡りが滞るといわれています。 

脾は、気血水を生み出す工場ともいえる臓器であり、その働きが悪くなると血も生み出せなくなってしまいます。夏バテになると食も進まなくなり、血虚を増大させてしまうこともあります。 

肝には、体の血を調整してくれる働きがあります。肝の力が弱くなると血の調整がうまくいかなくなります。その結果、くらくらしたりフラフラしたりをまねくことがあります。 

 

冷え性を防ぐ中医学的な食材

中医学では血を補う食材として次のようなものがあげられています。 

黒豆、アーモンド、黒ゴマ、黒きくらげ、ホウレン草、レタス、人参、干しぶどう、ライチ、桃、鮭、カツオ、マグロ牡蠣、牛豚鶏のレバー、卵、オイスターソースなど。

 

中医学・血虚・食材

 

また、薬膳や中医学らしい食材では、金針菜(きんしんさい)、竜眼や桑の実(マルベリー)なども補血効果が高いといわれているので、試してみるのもよいかもしれません。金針菜は百合のつぼみの部分で、とても補血効果が強いそうです。 

もちろん、食べものに気をつかうことは大切ですが、血虚を防ぐためには日頃から体を冷やさないように気を配ることがポイントになります。夏を健やかに乗り切るためにも、できるところから一つひとつ気をつけてみましょう。 

 

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星 宏美

星 宏美

2児の母。子供が生まれてから中医学や薬膳の魅力にひかれ、薬膳を学びはじめる。ほぼ同時期に食べ物だけでなく、ココロとカラダ全体の大切さに気づき、ヨガを日常に取りいれるようになる。現在はヨガ・インストラクターとして、スポーツクラブ、ヨガスタジオ、オンラインでレッスンを行うほか、薬膳インストラクターとして、渋谷RESMSTANDのメニュー監修、薬膳講座をてがけている。 -------- Q. ウェルネスのために心がけていることは?  → A. 自分にとって無理ない生活をすること。無理して、不調が起こったとしても、それも自分だから受け入れる。むしろそういうときの自分ほど褒めてあげる様に。不調が起こるのは、自分がすごい頑張ってるんだな!と思うので。 ------- 🦠 星宏美の記事一覧 ------- 🦠 星宏美のウェブサイト

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