江戸の町では、夏に人気の甘酒
毎月23日は2(ニュウ)と3(サン)で乳酸菌の日。ということで、この記念日にあわせて毎月、乳酸菌にかかわる話題をとりあげています。8月も後半になると暑さの疲れが蓄積されてきて、からだもバテ気味。そこで今回は、夏の疲れを癒すのにぴったりの和のドリンク、甘酒を紹介したいと思います。この甘酒、「飲む点滴」と呼ばれるほど栄養が豊富なのですね。
甘酒は、米麹や酒粕からつくる甘い飲みもの。「酒」と名がついていますが、市販の甘酒はほとんどがノンアルコールです。
その起源は「日本書紀」にも書かれており、はるか昔の時代から飲まれていたようです。やがて庶民の間でも飲まれるようになり、江戸時代には甘酒が大ブームに。お店で売られるばかりでなく、「あまい、あまい〜 あまざけ〜」と町を売り歩く商人も登場したそうです。なかでも甘酒の需要が高かったのは夏。俳句でも「甘酒」は夏の季語となっています。
さわやかな酸味を生み出す乳酸菌
甘酒には、大きく2つのつくり方があります。
簡単なのは酒粕を使ってつくる方法です。お湯に酒粕を溶いて温め、砂糖などの甘みを加えるだけで完成。家庭でも手軽につくることができますね。
もう1つは、江戸時代から愛されてきた昔ながらの製法。蒸した米に米麹を加えて発酵させます。米のデンプンが米麹に含まれる酵素によって糖化され、甘い味が生まれます。
じつはこの甘酒づくりで大切な役割を担っている微生物がいます。それが乳酸菌なのですね。仕込みの段階で自然に混入した乳酸菌が甘酒の発酵に加わり、乳酸菌ならではの味わいと成分を付加しているのです。
やわらかな甘味の中にほんのり爽やかな酸味が漂う甘酒のおいしさには、乳酸菌がひと役かっているというわけなのですね。最近では、この乳酸菌の働きに注目して、人為的に乳酸菌を加える商品も登場しています。
「飲む点滴」ともいわれる甘酒
甘酒には、豊富なブドウ糖に加え、ビタミンやアミノ酸などが含まれ、疲労回復やアンチエイジング、肌荒れなどに効能があるといわれています。
また、腸内細菌の餌となる食物繊維やオリゴ糖なども含まれているので、腸活にもよさそうですね。
ちなみに江戸の町では、甘酒は夏でも温めて生姜を加えて飲むのが主流だったそうです。夏の盛りに、生姜の風味が香る熱々の甘酒。粋ですねえ。夏が終わる前に、ぜひ試してみてください。
Reference:以下の情報を参考に作成しています
https://amazake.or.jp/
https://kojispirit.com/page/40.html
http://news.line.me/issue/oa-japaaan/80a9392b25cc
【バックナンバー】
こんなところにも乳酸菌!① 「発酵」と「腐敗」はどう違う?
こんなところにも乳酸菌!② 個性的な風味の秘密は「くさや菌」
こんなところにも乳酸菌!③癒される甘さ、夏の終わりに甘酒 (現在の記事)
こんなところにも乳酸菌!④ 牛たちも大好き、牧草の漬物
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