自転車トラック競技で活躍中の梶原悠未さん。2021年は東京五輪・世界選手権・チャンピオンズリーグに出場し、日本だけでなく世界に活動の場を広げています。その母であり、マネージャーとして食事の管理などに携わる梶原有里さんの連載の第二回目。今回は保育士としての視点から、食の大切さについて語ってくださいました。
[ 梶原有里、世界への窓 第2回 ]
マネージャーとして母として“食の大切さ”を思う日々
~アスリートのマネージャーとして、母として考える、ウェルネスのかたち~
東京五輪の自転車オムニアム競技で銀メダルを獲得した悠未は、多くの方のあたたかい祝福の中、「パリ五輪での金メダル」を目標に掲げて動きはじめました。
五輪後すぐに海外へ出発し、世界選手権、そしてUCIトラックチャンピオンズリーグに続けて出場。世界のトップクラスの選手と競い合うことで、みずからの力を向上していこうと、本人が決めたチャレンジです。私もマネージャーとして、本人の成長に必死にくらいついていくように(笑)サポートを続けています。
海外での試合は、特に食事のサポートが難しい状態になります。トラックチャンピオンズリーグに出場するため、スペインのマヨルカ島に滞在した時、先に悠未は現地に到着していました。私が合流するまでの2週間は、スペインで食事を提供する会社さんに依頼をして、作り置きおかずを作ってもらっていました。ご飯は海外でも使える電気鍋を持参し、悠未が自分で炊いて、作り置きおかずを食べて過ごしました。
追いかけるように私が、飛行機に乗せることができる範囲ギリギリ23キロ分の荷物をもってマヨルカ島に飛びました。中身は、日本の食材と悠未の冬用練習着と私の洋服。そして、日本から持ってきた調味料や乾燥野菜などの保存食と、現地のスーパーで調達したお米やお肉、野菜などを組み合わせてお料理をしました。
「そこまでして、食事を徹底されるのですね!」とびっくりされることも多いのですが、私は保育士としての経験からも、子どもも大人も、日々の暮らしを健康に過ごすポイントは、やはり「食事」にあるのではないか、と感じています。
トラックチャンピオンズリーグ出場のためイギリス&ロンドンへ
保育士として働いていたころの思い出ですが、保護者の方々は仕事や家庭のことでとても忙しく、毎朝、時間に追われながらお子さんを預けにきます。そのような中、おそらく朝ごはんを用意する時間も難しかったのでしょう、何も食べないまま保育園に来るお子さんもいらっしゃいました。その姿を見るたびに「何か自分が代わりにご飯をつくって食べさせてあげることができれば……」と思うこともしばしばありました。
また職場で知り合ったお友達が、出産されたあと体力的に消耗している様子だったので、何か食事で手助けができればと思い、「うちにご飯食べにおいでー」と自宅に招いて、ランチや夕飯を作って一緒に食べたり、旦那さんの分の夕飯もお土産に持ち帰ってもらったことがありました。
そうしている間に、お子さんが離乳食の時期になったため、離乳食の1ヶ月分くらいの作り置きおかずを作ってプレゼントしました。まとめて作って、一食分ずつラップでクルンと包んで冷凍しておけば、いつでも解凍して食べられる、というものです。
左:お子さんがいるママたちや友人をよく自宅に招いてホームパーティー
右上:昔お花見に行ったときのお弁当
右下:お子さんのいるお友達が遊びにきて帰るときに持たせてあげたおかず
栄養としての食の大切さももちろんですが、わたしたちの腸内細菌のバランスも、日々の食事が深くかかわっていると聞きます。子どもだけでなく、各年代においてもバランスのよい食生活は大事だと思います。
保育士として、そしてオリンピック選手のマネージャーとしての経験をいかして、多くの方のウェルネスに役立つ「食」の情報をお届けしていきたいと思います。
執筆:梶原有里 / Kajihara Yuri
プロフィール
自転車競技で活躍中の梶原悠未選手の母であり、マネージャー。2児の母として子育てに取り組むとともに、長女、悠未さんのサポートを通じてスポーツ・マネジメントを学ぶ。独学でスポーツフードアドバイザーの資格を取得。現在は、悠未さんのマネージャーとして、練習のサポート、取材の対応、そして毎日の食事の管理に携わる。https://www.twitter.com/
【バックナンバー】
[梶原有里、世界への窓 第1回] 銀メダルからの挑戦
[梶原有里、世界への窓 第2回] マネージャーとして母として“食の大切さ”を思う日々 (現在の記事)
[梶原有里、世界への窓 第3回] 世界的アスリートの子育てポイントは「体験」と「興味」
[梶原有里、世界への窓 第4回] 世界的アスリートを育てた食事法
[梶原有里、世界への窓 第5回] 世界的アスリートが実践する海外遠征時の食事法
[梶原有里、世界への窓 第6回] オリンピックを決めた「ある一言」とひとつの挫折
[梶原有里、世界への窓 第7回] 高校入学を機に水泳から自転車へ転身、オリンピック金メダルを目指す
[梶原有里、世界への窓 第8回] 脳のトレーニングでオリンピック・レベルの精神力を鍛える
[梶原有里、世界への窓 第9回] 「笑顔」で晴れの舞台へ、オリンピック当日までの過ごし方
[梶原有里、世界への窓 第10回] オリンピック銀メダルからの新たな挑戦
【梶原有里 イベント・レポート】
自転車アスリートの食事を梶原有里さんに学ぶ ~KOSMOST発酵ダイアログJANレポート
【梶原有里さん、梶原悠未さん インタビュー連載】
自転車競技世界女王・梶原悠未 トップアスリートのライフスタイル(1)
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