からだを気づかうメニューとして、日常の食卓に味噌汁を取り入れている方も多いと思います。けれども、当たり前の存在すぎて、その偉大な発酵調味料について、思いをはせることは少ないのではないでしょうか? じつは、いろいろな遊び方のある味噌。発酵研究人、“はっこうちゃん。”が、発酵を通じて微生物の魅力を語る発酵エッセイの4回目。時間が少しできる休日に味噌について考えてみませんか。
「味噌」のルーツに思いをはせる
日本における味噌の歴史は、縄文時代にさかのぼります。「縄文みそ」とよばれる、どんぐりで造った保存食が生活跡から見つかっているそうです。
味噌のルーツとも考えられる豆を使った保存食(大徳寺納豆のような発酵した乾燥豆)は、鑑真大和上が来日した700年代にすでに存在したことがわかっています。戦国時代には、味噌が大切なたんぱく源として重宝され、たとえば、武田信玄は出陣時に味噌玉を腰にさげ、行軍中に発酵した味噌を栄養源としていたそうです。
三礎、「味礎、身礎、美礎」
いろいろ発酵食品がある中で、味噌に恋する理由はたくさんあります。調味料の基本、“さしすせそ”のひとつとして美味しさに寄与するだけでなく、栄養も豊富。多様なビタミンだけでなく、生命を維持するために不可欠な必須アミノ酸8種類がすべて含まれているのです。これは発酵の賜物。たんぱく質が分解されてアミノ酸(うまみにも寄与)となるのです。
さらにうれしいのは美容効果?! 「みそをつくる人の手は白くてすべすべ」といわれるそうですが、それは使用する麹そのものに美白が期待できるから。味噌の効用について、これら以外にも多くの論文が発表されています。
愛らしい「味噌」
味噌ソムリエでもある “はっこうちゃん。”は、冬の味噌仕込みの時期になると毎年ワークショップを開き、多くの方と味噌づくりを8年以上続けています。うれしいのはリピーターが多いこと。「自分でつくったお味噌が、やっぱり一番です~」との声を聞きます。
味噌づくりをすると、「手前味噌=自分で自分をほめたくなる」という素直な気持ちがよみがえります。味噌づくりは同じ材料、同じ環境で仕込んでも、仕上がりは十人十色。こねる過程や発酵環境などで唯一無二の味噌ができあがります。だからこそ、特別で、食べるたびに幸せを感じられるのかもしれません。
楽しい「MISO」レシピ
お味噌は和食に限らず、洋食、スイーツにも合います。MISOディップで生野菜。MISOとスパイスでカレー。MISOクッキーなどなど。
今回はカレーを簡単に紹介しましょう。
まず、味噌でカレールーを作ります。フライパンに適量の油をひき、串切りにした玉ねぎを炒め、透き通ってきたらカレー粉をからめて、米粉をまぶし、味噌を入れてさらに炒める。香ばしくなってきたら、適量のぬるま湯を加えてペースト状に。塩、胡椒でカレールーの味を調えます。
次に、いつもの要領でカレーを準備し、カレールーの代わりに味噌カレールーを入れたら出来上がり。残ったカレールーは冷蔵庫で約1週間保存可能です。
身近にある味噌と遊んでみませんか? 日々の生活にワクワクが増えるかもしれません。
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