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ヨーグルトなどでもお馴染みのビフィズス菌。この微生物が注目を集めるきっかけを見出した研究者が、腸内細菌学の先駆者、光岡知足先生なのだそうです。今回はビフィズス菌、そしてプレバイオティクスについてご紹介します。

赤ちゃんの腸内から見つかったビフィズス菌

ビフィズス菌は、これまでに30種以上が知られています。最初に発見したのはフランスのティシェ博士です。彼は、パスツール研究所付属病院に勤務する小児科医でした。今からわずか100年余り前の1899年のことです。
当時、ティシェ博士は、乳児のあいだで流行っていた下痢症状を調査していました。人工乳で育った乳児と、母乳で育った乳児の腸内細菌を比較して調べているうちに、次のようなことを解明していきます。

  • 母乳で育った乳児のうんちからビフィズス菌が頻繁に見つかり、腸内にビフィズス菌のフローラがある
  • 母乳で育った乳児は下痢症状が少なく、病気にかかっても回復が早い

そこで、ティシェ博士は、ビフィズス菌は乳幼児のからだを守る重要な細菌であると考えて、学会で発表しました。

実際には、ビフィズス菌を発見するまでには数年を要したようです。というのも、ビフィズス菌は無酸素の状態で生育するタイプの菌であり、通常の酸素のある状態ではとても培養が難しかったのです。

 

母乳に含まれるオリゴ糖とビフィズス菌の関係とは?

さてこれを機に、ビフィズス菌の研究が世界各国ですすめられるようになりました。しかし、ビフィズス菌がなぜ、乳児の腸内にフローラを形成するのか、成人にもこの傾向があるのかなど、多くの疑問が未解決のままでした。

これらの疑問への答えを見出したのが、元東大名誉教授の光岡知足先生でした。現在のプロバイオティクスの基礎を築いた、腸内細菌学の第一人者です。

先生は国内外の文献を読みあさり、「ビフィズス菌が増える要因となるものが母乳の中に存在するのでは?」という仮説を立てました。

するとある時、虫歯予防効果のあるフラクトオリゴ糖を研究するなかで、偶然にも大発見がありました。治療中で入院患者の大人にフラクトオリゴ糖を投与したところ、なんと全員からビフィズス菌の増殖を確認することができたのです。

こうしてビフィズス菌を増やす物質は、母乳にも含まれる「オリゴ糖」であること、さらに大人にもビフィズス菌が存在することを突きとめたのです。ビフィズス菌が発見されてから81年後のことでした。

“プレバイオティクス”の可能性に注目

“プロバイオティクス”という言葉を聞いたことがありますか?

腸内細菌のバランスを改善して、健康に有益な作用をもたらす生きた微生物のことをいいます。代表的なものとしては、乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌などがあげられます。それらを含む食品・医薬品などもプロバイオティクスと呼ばれ、最近、ヨーグルトなどでもそうしたネーミングの商品を見かけますね。

一方、“プレバイオティクス”と呼ばれるものもあります。いまあげたプロバイオティクスの働きを助ける物質のことです。光岡先生が見出したオリゴ糖はその代表的なものであり、他に食物繊維などもあげられます。

オリゴ糖には、ビフィズス菌の増殖をうながし、腸内を弱酸性にするので、大腸菌などの増殖を防いでくれる働きがあります。

さらに、カロリーは砂糖の2分の1。腸の動きが盛んになって便通がよくなることに加え、血糖値の上昇を抑えるといった多くの特徴があります。

この光岡先生の発見は大きな成果でした。国際的な学会でも反響を呼び、その後、さまざまな種類のオリゴ糖が開発されることになりました。

このように、光岡先生は地道な研究によって、腸内細菌と私たち人間のかかわりをさまざまに解明してきました。“プレバイオティクス”は、今では、お腹の調子を整える特定用保健食品にも用いられています。 

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10代の頃、風邪ひとつ引かなかった母親がとつじょ病気で倒れ、介護生活をよぎなくされた。この頃、故郷の長寿村について調査研究をまとめた光岡知足氏の書籍を読んで、食事と腸内細菌の関係を知った。これがビオスマイルの微生物への関心のはじまり。------- Q. 「微生物とともに生きるライフスタイル」で大切にしていることは? → A. 朝の澄んだ空気の中、散歩は欠かせません。心も腸内も目覚ましタイム!!

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